杉本 幸裕(大学院農学研究科・教授)
根寄生雑草を化学的視点から解析して総合防除に活かす
根寄生雑草ストライガはイネ科作物を宿主として養水分を収奪する。アフリカを中心に地球規模で食料生産を妨げており、被害額は年間1兆円にのぼる。本研究では、ストライガの被害が大きいスーダンを相手国として、発芽機構を解明しそれに基づく防除法を開発する。併せて、抵抗性品種の選抜を行うほか、ストライガが生産する有用物質を探索して生物資源への転換を目指す。さらに研究で得られた知見を農民と共有し、ストライガの総合防除法を確立する。
具体的には、発芽誘導剤は宿主の存在しない畑でストライガ種子を自滅に追い込む。発芽阻害剤と抵抗性品種はストライガの増殖を抑える。生き延びたストライガは有用物質原料として利用される。この総合防除法は他の根寄生雑草の防除にも活かされ、地球規模で食料生産を妨げている生物的要因を克服できる。
ソルガム畑を席捲するストライガ

自殺発芽誘導によるストライガ防除

イネ品種のストライガ感受性評価
