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核融合と直接発電

竹野 裕正  工学研究科 教授  Hiromasa TAKENO  Professor

核融合反応とは

 現在の原⼦⼒発電というのは原⼦核の分裂反応で放出されるエネルギーを利⽤するものだが、⽵野教授が対象にするのは核「融合」反応によって出るエネルギーを使おうというもの。⼀般に⼤きな原⼦は壊れやすく、現在の原⼦⼒発電では、⼤きな原⼦で崩れやすいU(ウラン)の放出するエネルギーを使うが、核融合では、H(⽔素)やHe(ヘリウム)といった⼩さな原⼦核同⼠がくっつく際にエネルギーが出る。⾃然に置いておくだけで崩れるUと違い、地球上では核融合は⾃然に起こる反応ではなく、反応する環境を⼈間が意図的に作らないと実現しない。

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核融合発電研究の端緒とそのしくみ

 核融合のエネルギー⾃体は昔から知られており、これを利⽤したのが⽔爆。爆発というのは反応が急すぎて⼈間がコントロールできないものだが、核融合発電では穏やかに反応させることが重要になる。核融合発電の研究は約70年前に始まったが、資源の乏しい⽇本ではこの技術への期待は⼤きかった。当時は「30年後には実⽤できるだろう」と⾔われていたがいまだ実現していない。⽵野教授がこの研究に関わり始めた約40年前、核融合発電を実⽤化するためには、相当巨⼤な装置が必要であると世界中の研究者から⾔われていた。そのため、実験的な研究はどこの⼤学でもできるわけではなく、巨⼤な実験装置は集約された。現在は旧科学技術庁の研究所に⽇本最⼤の装置があり、もう1箇所、岐⾩県⼟岐市にある核融合科学研究所にも巨⼤な装置がある。この頃、⽵野教授の⼤先輩に当たる百⽥先⽣が、反応の実現が研究の主流であったのを、反応が起こった後にどのように電気を起こすかに着⽬した構想を提唱した。核融合について、反応ではなく、発電にこだわっているのはそのためだ。現在の核融合研究のほとんどは、H(⽔素)の同位体で、中性⼦が加わった重⽔素2Dと中性⼦が2個加わった三重⽔素3Tの反応を想定している。これは、反応を起こす条件が最も緩いからである。また、反応の条件は厳しいが、2D同⼠の反応であれば、何億年分もの燃料を海⽔中から採取できる。もう1つ、2D同⼠よりも容易な2Dと3He(ヘリウム3:中性⼦が1つしかないHeの同位体)の反応がある。この反応では放射能の元凶たる中性⼦の発⽣が少なく、かつ通常の蒸気発電と全く異なる⾼効率の直接発電が利⽤できる。燃料のヘリウム3は地球上では乏しいが、⽉表⾯に⼤量に存在し、その採掘コストを含めた経済性をも考慮した、社会受容性の⾼い発電システムを百⽥先⽣は提案した。⽵野教授は、この構想の中の直接発電の研究を⾏っている。



エネルギー問題と研究への思い

 現在の核融合の研究では、世界が共同してフランスに実験装置を建設している。⽇本はこの分野は世界でもトップクラスで、これだけ⼩さな国に⼤きな施設が2台あるのは特筆するべきことだ。⾃分の現役の間に実現できるとも思っていないが、次の世代くらいで実験レベルででも成功してくれればと思っている。この研究を始めた時の思いは、エネルギー問題が背景にあった。⽯油はあと50年しか持たないし、若い学⽣さんたちにとっては⼤きな問題だ。それを解決するのは核融合でなくてもよいと思っているが、エネルギーの確保は絶対に必要になる。⼀⼈ではほんの狭いところの⼀つしかできないが、⼤学の研究なので、いろいろやってダメでもいい。どこかに⽬が出ればいいし、他の⼈の研究を尊重することが⼤事だ。



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電磁エネルギー物理学研究室HP