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先進パワーエレクトロニクスによる"ユビキタス・グリーン"社会の実現へ

三島 智和  海事科学研究科 准教授  Tomokazu MISHIMA  Associate Professor

高効率・高性能な太陽光/風力/水素エネルギー発電システムの開発

 三島准教授が扱うのは、パワー半導体デバイスを使って電気を⾼効率に変換・制御・調整する学問分野。
 電気を使うシーンはさまざま存在するが、産業⽤、輸送・交通、再エネ・新エネ発電、情報通信および医療と、三島准教授の技術のターゲットは幅広い。また、エネルギーを⾼効率に利⽤するだけではなく、利便性の向上、「ユビキタス」にも貢献しようというのがポリシーであり、従来の「電⼒」「電⼦」「制御」だけでなく、「通信」「機械」「熱」「化学」といった様々な技術分野を取り込んだ複融合領域からなるのが、三島准教授が提唱する"先進パワーエレクトロニクス(Advanced Power Electronics)"だ。
 たとえば、医療・福祉⽤の体内埋め込み型医療機器については、その動⼒であるバッテリを切開して取り替える⼿術に替わる⼿段として、体外から⾮接触に給電を可能にしようというワイヤレス給電システムの研究に取り組んでいる。また、情報通信⽤の電源としてIOTやビッグデータを⼀括管理するデータセンターにおけるCO2削減は今後⾮常に重要になる。DXを推進するためには、AIを活⽤しデータを利⽤するという観点ばかりが強調されるが、それらをまとめて管理するサーバへの給電など電源を主とするハード⾯が⾒落とされがちだ。データセンターのカーボンニュートラルが⾮常に重要であると三島准教授は主張する。こうした領域にも使えるのが三島准教授の回路技術であり、⾮常に幅広く、社会を下⽀えするような領域であり、これを三島准教授はエネルギーの「創」「省」「蓄」「活」と表現する。

5_mishima


幅広い分野に応用される電源回路技術

 輸送・交通⽤では、EV⽤のバッテリー充放電制御のための電⼒変換装置や、鉄道・船舶などの電動⼒となるバッテリの急速⽤充電装置、さらには電気加熱の1種である誘導加熱(IH)の原理を利⽤した電磁調理器や⾦属の焼き⼊れ・焼き鈍しなど熱処理装置など応⽤できる、クリーンで⼩型軽量かつ⾼精度な電⼒制御が可能な⾰新的な⾼周波電源の研究開発に⻑年取り組んでいる。
 また、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を使った⾮常に⾼速かつ⾼効率な新型パワー半導体デバイスに注⽬し、それを応⽤したワイヤレス給電を世界に先駆けて開発することに成功した。この技術によって、低電圧の燃料電池を家庭で使える程度に昇圧させるコンバータを開発することができる。また、分散電源として⽔素を使った地域内の電源を構成するスマートグリッドや直流マイクログリッドにも三島准教授の技術が応⽤できる。とりわけ、データセンターや液体⽔素製造運搬設備が整う神⼾にとり好適な社会実装が期待できる。

5_mishimaさまざまな分野に応⽤可能な三島准教授の研究



高効率かつ電磁ノイズを抑制した高度な技術の社会実装へ

 三島准教授の開発する技術のポイントは、パワー半導体デバイスを使って⾼周波を⽣成する時に、いかに⾼効率かつ電磁ノイズ(不快な騒⾳や⼈体に悪影響を与えるようなもの)を発⽣せずに駆動するかというところにある。また、特にCOVID-19の影響もあり、電線を使⽤せずワイヤレスで電⼒を伝送する⾮接触給電装置へのニーズはますます⾼まっているという。このワイヤレス給電では、⾛⾏中の⾞両へのワイヤレス給電、停泊する電磁船への陸海双⽅向からのワイヤレス給電、さらに⽔中でのワイヤレス給電などその可能性は幅広く、さらには再⽣可能エネルギーと組み合わせることでカーボンニュートラルへの貢献が⼤きく期待される。これからの時代は⾞も家電の⼀部となり、運転しないときは昼間太陽光で給電し、夜や⾬天時には家庭で使うことができるVehicle-to-Home (V2H)システムが期待されている。カーボンニュートラルという視点だけでなく、電気の利便性を向上するという視点だ。さらに、今後は⽣体給電にも取り組んでいこうとしている。例えば、ペースメーカーは5〜10年に⼀度取り換えるが、費⽤もかかるし接続不良や感染症によるリスクがある。効率性よりも、⼩型で⼈体に影響を与えるような電磁ノイズを出さないように制御する⾼い技術が必要であり、ハードルも⾼いが、パワー電⼦回路の寄与が期待されるところだ。
 神⼾⼤学としてのカーボンニュートラル推進にあたっては、⼤学独⾃の特⾊を出すことも重要だ。データセンターへの応⽤はその⼀つとしてマッチするテーマだろう。また、科学技術イノベーション研究科などとも共同研究できればいいし、エネルギーの活⽤は技術的な活⽤だけでなく政策的な活⽤も重要であり、社会科学系分野の研究者の役割が⽋かせない。

ワイヤレス発電のようす(実験室にて)

ワイヤレス発電のようす(実験室にて)



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三島研究室HP