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開催終了

第40回(令和5年度) 神戸大学工学部公開講座「SDGsに寄与する工学」/開催日:令和5年5月27日(土)、6月3日(土)、6月10日(土)

第40回(令和5年度) 神戸大学工学部公開講座「SDGsに寄与する工学」/開催日:令和5年5月27日(土)、6月3日(土)、6月10日(土)
日時
2023年5月27日(土)
開催場所
Zoomウェビナー形式

詳細

神戸大学工学部公開講座は,お蔭様で第40回を開催することになりました。これまで,その時々の技術革新,社会問題,生活様式の変化に対応したテーマ設定による数々の講義をご提供することで,幅広い年齢層,ご職業の皆様にご参加いただき,ご好評をいただいてまいりました。工学部は2021年に設立100周年を迎え,次の新たな100年に向け,ビジョンを「世界とつながる「知」の拠点,神戸でものづくり,ことづくり,そしてずっと続くしあわせづくり」とし,教育理念として「創造性を育む価値観の形成」,研究理念として「科学・技術の開拓と社会への涵養」を掲げ,誰もが幸福で安寧な未来社会の創造と実現に貢献することを目指した教育・研究を行っております。

第40回の公開講座は,「SDGsに寄与する工学」をテーマとして開催し,神戸大学工学部の教員がすすめているSDGsに関連する多彩な分野での取り組みの中から,「100年の地域居住─阪神間住宅地の住宅・家族・地域─」,「長く使い続けるための新しい非破壊評価技術」,「安全・安心を導くスマート防災」,「システム情報学を礎とするスマートなまちづくり」,「水とエネルギーと二酸化炭素の問題に取り組む膜分離技術」,「量子コンピュータと量子未来社会」について取り上げ,最先端の研究トピックスを交えてご紹介いたします。

令和5年度は,より多くの皆様,遠隔地の皆様にもご参加いただけるように,オンライン形式(先着100名様まで)を併用して開催いたします。
また,学生・一般の方を問わず,受講料無料で開催いたします。一般市民の皆様,学生諸君へ,奮ってご参加くださいますようご案内いたします。

開催日:令和5年5月27日(土)、6月3日(土)、6月10日(土)の各土曜日(合計3日間)

講義日 時間 講義題目 講師
5月27日(土) 13:05~14:35 100年の地域居住─阪神間住宅地の住宅・家族・
地域─
山口 秀文 講師
14:55~16:25 長く使い続けるための新しい非破壊評価技術 塩澤 大輝 准教授
6月3日(土) 13:00~14:30 安全・安心を導くスマート防災 飯塚 敦 教授
14:50~16:20 システム情報学を礎とするスマートなまちづくり 藤井 信忠 教授
6月10日(土) 13:00~14:30 水とエネルギーと二酸化炭素の問題に取り組む膜
分離技術
吉岡 朋久 教授
14:50~16:20 量子コンピュータと量子未来社会 相馬 聡文 准教授

<講義概要>
■山口 秀文 講師 100年の地域居住─阪神間住宅地の住宅・家族・地域─ 
私たちが住む住宅を決める時には,間取りや職場,実家との関係,利便性,子育て環境や緑環境など様々な要因があります。「住宅」を選びつつ「地域」についても考えられているはずです。一方,一つの敷地に一つの住宅,そこに一つの世帯が住むことが当然と思われていないでしょうか。実は,地域に住む─「地域居住」ということを考えると,これをあたりまえと思わないことが住み続けること─住宅地の持続性─に大きく関わっています。本講義では明治末から昭和初の100年前に開発された阪神間の住宅地を例に,地域の中でどのように住まわれてきたのか,実際のフィールドワークから「住宅」と「家族」と「地域」をキーワードにお話しします。

■塩澤 大輝 准教授 長く使い続けるための新しい非破壊評価技術
機械構造物では,長期間の使用中に疲労き裂が発生し,破壊に至ることがあります。そのため機械構造物を作って終わりではなく,き裂を検出して補修を行う保守保全を繰り返しながら利用する必要があります。長大橋や交通インフラなどのような大型構造物では,多くの箇所を短時間で検査する,簡便かつ効率的な検査手法が望まれます。本講義では,機械構造物の保守保全について解説し,赤外線サーモグラフィを用いた非破壊評価技術について紹介します。

■飯塚 敦 教授 安全・安心を導くスマート防災 
DX(デジタル・トランスフォーメーション)が社会変革を起こすと言われている。ここでは,DXがもたらすスマート防災を取り上げ,防災・減災のありかたをどのように変えるかを考える。スマート防災の基幹は,予測シミュレーション駆動型のデジタルツインであるが,その技術によって,対象地域の広域化,解像度が高まる詳細化,そしていろいろな災害の重畳を考慮できる多数シナリオの検討が可能となる。防災・減災のパラダイムシフトが惹起される。

■藤井 信忠 教授 システム情報学を礎とするスマートなまちづくり
デジタルトランスフォーメーション(DX)が様々な分野で推進されているなかで,まちづくりにおいてもスマートシティやスーパーシティのようなコンセプトの提案と試行が進められてきている。持続可能なまちづくりのためには,センサ網を張り巡らせ,自動走行車を導入するようなこれまでの技術主導のアプローチではなく,まちで仕事に従事し生活をする市民の満足を中心とする新しい方法論が必要となってきている。本講義ではシステム情報学を礎としたこれまでの取り組みについて紹介する。

■吉岡 朋久 教授 水とエネルギーと二酸化炭素の問題に取り組む膜分離技術 
物質の分離精製技術は,飲用水の浄化や廃水処理,地球温暖化対策としての化石燃料使用量の削減,および水素製造や二酸化炭素の回収のような環境・エネルギー問題解決のためのキーテクノロジーの一つです。本講義では,分子の移動速度や物理化学的特性の違いを利用することで,省エネルギーかつ低コストな分離技術として知られる膜分離法に焦点を当て,分離膜の様々な応用分野とその先端的な研究開発事例について紹介します。

■相馬 聡文 准教授 量子コンピュータと量子未来社会 
近年人工知能技術と並んで今世界中で開発競争が行われている未来技術の一つに,量子コンピュータを中核とする量子技術があります。実際2022年には内閣府が「量子未来社会ビジョン」を掲げ,カーボンニュートラル等の社会課題の解決のために量子技術を活用していく戦略を策定しています。本講義では,量子という概念,特に2022年のノーベル物理学賞の受賞研究における中心的概念である量子もつれについて概説し,それを利用した量子コンピュータが既存のコンピュータとどこが違うのかを解説し,そしてそれによって将来的にどのような未来社会が期待されるのかについての展望を述べます。