取組事例

浄水処理や下水処理における分離膜技術の開発

  • 安全な水とトイレをみんなに

松山 秀人(大学院工学研究科・教授)
中川 敬三(大学院科学技術イノベーション研究科・准教授)

浄水膜ろ過による おいしい水、安全な水の確保

浄水処理(飲用水)分野において、膜ろ過法は確実に良質な水が得られることから我が国においても採用が増えつつあり、現在約900か所の浄水場で膜ろ過法が採用されている。一方、膜ろ過法は微細孔で濁質を除去する原理上、膜の目詰まり(ファウリング)は避けることができない。膜がファウリングを起こすと、ろ過水量が低下し必要な処理水量が得られなくなるため、膜を洗浄あるいは交換する必要が生じる。膜の洗浄時期の予測や効果的な洗浄には経験と労力を要するため、ファウリングの予想方法や効果的な洗浄方法の選定法の開発が望まれる。当研究室では、下記の研究開発に取り組んでおり、研究成果は浄水処理プラントの運転に活用されている。

膜を用いた浄水処理

革新膜を用いた創エネ型下水処理システム

都市下水など有機性排水をメタン生成細菌で嫌気発酵処理すると、排水からメタンガスを得ることが可能であるが、メタン生成細菌の生育温度が35℃~60℃と高温であることから、有機物濃度の低い排水では、昇温に要するエネルギーがメタンガス回収で得られるエネルギーを上回る結果となるため、下水処理では適用メリットがないとされていた。我々は、省エネルギーで運転可能な正浸透膜(FO膜)を用いて下水を濃縮することにより、エネルギー収支がプラスとなる下水からのメタン生成法を見出した。また、濃縮下水からのメタンガス生成において、チューブラー型の限外ろ過膜を用いた嫌気性メンブレンバイオリアクター(MBR)を適用することにより、目詰まりを抑制した運転を可能にした。本技術を用いれば、下水からメタンガスを効率良く取り出すことが可能となり、下水をエネルギー資源として活用することができると期待される。

膜を用いた下水からの創エネルギープロセス